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61.生前贈与の有効活用

110万円の基礎控除を利用する

贈与税の基礎控除は110万円です。

毎年この基礎控除を利用して、長期的・計画的に贈与を行なうことで将来の相続税を減らす有効な手段となります。

110万円の基礎控除を利用してもっとも生前贈与をしやすい財産は、現金や預貯金です。

夫から妻、子どもや孫に対して、毎年110万円ずつ贈与をし続ければ、長い年月にはかなりの財産を移転することができます。

相続財産の減少につながるとともに利息や値上がり益なども受け取ることができます。

さらには、将来の相続税の納税資金としても、有効に活用できるというメリットがあります。

次に財産を移転するにあたってのポイントを説明します。

名義預金とみなされないようにする

いくら現金や預貯金の贈与が生前贈与対策に効果的であるといっても、いくつかの注意点はあります。

まず、税務署の相続税の調査で必ずといっていいほど問題となるのが名義預金についてです。

名義預金とは、形式的には被相続人の名義ではなく、その人の相続人である子どもや孫名義にはなっていますが、その通帳の名義はただ子どもや孫の名義を借りただけであって、実質的には被相続人のものであるとの事実認定を受ける場合をいいます。

つまり、相続が発生した場合には、その名義預金が相続財産として課税されてしまうのです。

税務調査で名義預金とみなされないためには、きちんと手順を踏んだ生前贈与を行なうことが必要となります。

そもそも贈与とは、民法上「贈与の当事者同士が贈与契約を交わすこと」である、父が子ども名義で毎年預金をしていても、その預金の存在を子どもが知らない場合には、子どもの意思表示がないことから、贈与は成立していないとされてしまいます。

そこで、生前贈与に失敗しないようにするために、「実質的にも形式的にも整った贈与」を学んでおく必要があります

贈与のポイントは証拠

上記にも記載したとおり、贈与は贈与者、受贈者の双方で「あげる」「もらう」という認識がない場合には贈与契約そのものがないのではないか、とみなされてしまいます。

そこで、本当に贈与があったという証拠を残すことが必要です。

本当に贈与があったということを第三者(税務署)が認めなければ、その贈与は否認される可能性があります。

たとえば、現金贈与をした場合に、贈与をした現金の受入口座を贈与した人が管理などをしていて、印鑑まで所有している場合には、贈与があったものとはみなされないでしょう。

そこで、贈与の証拠を残すためには次の手順で行いましょう。

贈与契約書を作成する

贈与する金額の多少に関わらず、次の手順を踏んでおくことにより、贈与の証拠が残しておけますので、実行して下さい。

これこそ生前贈与を否認されないための前提条件となります。

①まず自署捺印のある贈与契約書を作成し、さらに確実性を高めるためには公証役場で確定日付を取っておきましょう。

②贈与税を少し払って、贈与税の申告書を税務署に提出しておきましょう。

この申告をすることで税務署にも贈与の証拠が残ることになります。

たとえば現金111万円を贈与し、1千円の贈与税を支払うなどをしておけば、税務署へ証拠が残ります。

③現金贈与の場合は、口座振込にして通帳に記録を残しましょう。

④贈与を受ける人は、自己名義の口座を本人の印鑑で作成しておきましょう。

⑤贈与された人(またはその親権者)が通帳、印鑑、証書などを保管します。

印鑑はかならず贈与者のものとは別にしておきましょう

定期贈与に注意する

毎年同じ金額を贈与する定期贈与では、贈与事実の認定の問題が生じることがあります。

例えば、子どもに10年間にわたって毎年110万円ずつ贈与するとします。

この場合、10年前に「1,100万円をあなたに贈与します。しかし今は1,100万円は手許にないので、10年間で分割して毎年110万円を上げましょう」という契約があったものとみなされてしまう可能性があります。

贈与の意思決定は毎年それぞれの時点で行い、それを証明するために、贈与契約書を贈与時点でその都度作成する必要があります。