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56.10ヶ月以内に遺産分割をする

財産を分ける

相続人が1人だけの場合、相続放棄をしない限り相続財産はその相続人がすべて相続することになります。

相続人が数人いて、遺産分割をしていない状態では、すべての相続財産は、相続人全員で共有していることになります。

民法では、遺産分割はいつまでにしなければならないとの規定はありません。

しかし、相続税の申告期限はなくなった日の翌日から10ヶ月以内です。

未分割のまま申告した場合には、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減など相続税法上有利となる大きな特例が使えず、不利益を被ってしまします。

そうならないためにもスムーズに遺産分割を行いましょう。

遺産分割協議をするのは誰か

相続が発生すると、相続人が複数いる場合には、故人の財産債務をすべての相続人で共有することになります。

このような状態を解消し、個別の財産や債務を個々の相続人に帰属させるための手続きを遺産分割といいます。

ですが、必ず1つの遺産を1人がすべて所有する必要はなく、例えば土地は兄弟で2分の1ずつ共有するというような分割でもかまいません。

遺産分割の協議は、かならず相続人全員で行います。

一部の相続人だけで協議しても、それは無効です。

もし、行方不明の相続人がいるときは「不在者財産管理人」の選任を家庭裁判所に申し立て、その財産管理人を行方不明者の代理人として、遺産分割協議を行なうこととなります。

相続人の中に未成年者がいる場合には、法定代理人または家庭裁判所で選任した特別代理人が遺産分割協議に加わります。

遺産分割協議のスケジュール

上記のとおり遺産分割に期限はありません。

しかし、分割が完了するまでは、遺産は共有という使いにくい状態ですし、分割が長引くと遺産の管理などの問題が生じかねませんので、早めに分割をしたほうがよいでしょう。

一般的には、相続税の申告期限が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内とされていることから、これを目標に遺産分割協議を行なうことが多いです。

遺産分割の基準

遺産は相続人全員の合意があれば、自由に決められます。

ほかの相続人が納得すれば、1人だけがすべての遺産を相続することもできます。

また遺言があっても、これと異なった遺産分割をしてもかまいません。

遺産が分割しにくい場合、例えば遺産の大部分が自宅であったりする場合には、1人が全財産を相続し、ほかの相続人に対しては金銭で支払う「代償分割」、遺産を売却しその代金を分割する「換価分割」という方法で分割することもできます。

遺産分割がまとまらないと…

配偶者控除が受けられない

相続人(妻と子どもと仮定)の間で遺産分割がまとまらず、未分割の状態で相続税申告をしたとします。

こうした場合、妻は配偶者の税額軽減を受けることができません。

配偶者の税額軽減の対象となる財産には、原則として、相続税の申告期限までに分割されていない財産は含まれないこととされています。

仮にその後、申告期限後3年以内に分割が成立した場合には、申告し直すことで軽減を受けることができます。

しかし、最初の申告時に、軽減がない税額を払わなければならないため、一時的に多くの納税資金が必要となります。。

小規模宅地等の特例を受けられない

事業用、または居住用に供している宅地等を相続した場合、一定の面積については通常の方法で評価した価額から、決められた算式により求めた金額を控除することができます。

しかし、この小規模宅地等の減額も相続税の申告期限までに遺産分割が成立していない宅地等には適用できません。

これも申告期限後3年以内に分割が成立すれば遡って適用することはできます。

しかし、この減額の対象は事業用のものや居住用のものであるため、税金の面だけではなく、仕事や生活の面からもできるだけ早い段階で遺産分割を行いましょう。

農地等の納税猶予が受けられない

納税猶予制度とは、農業を営んでいた被相続人から一定の農地等を相続した相続人が、これらの農地等で引き続き農業をする場合には、ある基準に基づいた税額の納税を猶予する制度です。

この制度では、一定の期限までに営農することにより相続税が猶予され、免除される制度です。

この特例は、申告期限までにその農地等については遺産分割が成立していなければ、適用を受けることができません。

仮に申告期限後3年以内に分割が成立したとしても、もはや適用を受けることができない点で上記の2つの特例とは違いますので注意が必要です。

どちらにしても、遺産が分割されないまま申告期限を迎えることは、相続税額に大きな影響を与えるだけではなく、相続人間の関係悪化を招く原因にもなり得ます。

相続人それぞれが歩み寄って「争続」を避けましょう。