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54.債務があれば相続財産から差し引く

相続税の債務控除とは

相続税は、亡くなった人から取得した財産を利益と見て課税される税金なので、相続人が債務や葬式費用を引き継ぐ場合には、その分だけ利益が減ったと考えられます。

そこで、相続税法は、各相続人が取得した財産の価額から、その債務や葬式費用を控除して相続税を計算することとしています。

また、債務控除の適用を受けることができる人、できない人、控除の対象となる債務や葬式費用の範囲が細かく規定されています。

このため、債務控除ができるものについては領収書やレシートなどで証拠を残し、債務控除できないもので生前に支出できるものは支出するということが相続財産を少しでも減らすことにつながります。

債務控除の適用を受けられる人

債務控除の適用を受けることができる人は、財産を取得した人のうち、相続人に限られています。

従って財産を取得していない人が債務を負担しても債務控除は適用できません。

例題①財産を取得した時に日本に住所があった人の場合(このような人を「無制限納税義務者」と言います)

その取得した財産の価額から被相続人の債務で相続開始の際にまだ支払いとして残っているもの及びその人が実際に負担した葬式費用のうち一定のものです。

また、相続の放棄をした人及び相続権を失った人は債務を引き継ぐことはありませんが、葬式費用を負担した場合のみ債務控除することができます。

例題②財産を取得した時に日本に住所がない人で次の要件のすべてに該当しない人(「制限納税義務者」と言います)

・相続や遺贈により財産を取得した時に日本国籍を有している

・被相続人もしくは財産を取得した人が被相続人の死亡前5年以内に日本国内に住所を有したことがある

取得した日本国内にある財産の価額からその財産にかかる税金などのみ債務控除でき、葬式費用は控除できません。

債務の範囲

①未払いの税金など

相続開始日において未払いの所得税、贈与税、不動産取得税、消費税、都道府県民税、市町村民税、事業税、固定資産税、自動車税など。

※相続人のせいで延滞税、利子税、各種加算税を納めることになった場合には債務控除できません。

※都道府県民税、市町村民税、固定資産税、自動車税のように、地方税法で賦課期日が決められているものは、その日に納税義務が確定したものとして取り扱われます。(例えば固定資産税であればその年の1月1日、自動車税であれば4月1日)

従って、相続開始日に未払いのもので納付期限がまだ到来していないものは全額債務控除できます。

②借入金、預り敷金、保証金など

金額が確定していなくても、相続開始時に確実にあると認められる範囲で差し引くことができます。

これらの債務が申告期限において負担者が未定の場合には、法定相続分で負担することとして計算します。

債務控除ができる葬式費用

以下に債務控除が認められる葬式費用を例示します。

①本葬、仮葬、通夜にかかった費用(会葬の御礼なども含まれます)

②お布施・読経料・戒名料など

③お葬式の前後に生じた飲食代などの出費で通常必要と認められるもの

④火葬・埋葬・納骨をするためにかかった費用

⑤死体の捜索費または死体や遺骨の運搬費

⑥タクシー代

などです。

お布施、お手伝いの心付けなど、領収書が無いものはこまめにメモを残しておいて、後の相続税申告、税務調査に備えましょう。

亡くなられた方が国民健康保険に加入していた場合には埋葬費、社会保険に加入していた場合には埋葬料が支払われます。

また、社会保険に加入している人の扶養家族が亡くなられた場合にも支払われます。

ただしこれらの手続きはすべて自己申告制になっているので申告しなければこれらの埋葬費等は受給できません。

さらに、これらの埋葬費等には相続税はかかりませんので、しっかりと手続きを取り、貰い損ねることがないようにしましょう。

債務控除できない葬式費用

①香典返しの費用

②墓碑、墓地の購入費、借入料

③位牌代

④初七日法要費用、四十九日法要費用などの法要のための費用

⑤医学上又は裁判上の特別の処置のためにかかった費用

これらの費用は死者を葬る儀式とは関連がないと考えられるため、債務控除できません。

具体例で見ていきます。

Q私は、亡くなった甲とは内縁関係にありましたが、入籍はしていません。

ただ、生命保険の受取人になっていて、1千万円の保険金を受け取りました。

葬式費用は私が払いましたが、債務控除できますか。

A残念ながら法定相続人ではないため、受け取った保険金から支払った葬式費用を控除することはできません。