池袋・豊島区で相続税、相続手続き・登記の専門家
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近田健二さん(仮名・65歳)夫妻は、2人の子どもがいましたが、長男は事業に失敗し、大きな借金をかかえ、度々近田さんにその工面をお願いしてきました。
一方で近所に住む長女は、親孝行を長年に亘り続けてきました。
近田さん夫妻としては、できるだけ多くの財産を長女へ相続させてあげたいと考えていますが、遺言を作成しても、遺留分によって長男には1/4の財産を主張する権利が依然として残っていまいます。
できるだけ多くの財産を長女に遺してあげたい近田さん夫妻に何かいい方法はないでしょうか。
近田さんは3000万円の全財産のうち、2000万円を使って長女を受取人とする生命保険に加入しました。
さらに全財産のうち、長男の遺留分に配慮して、1/4を長男に、3/4を長女に遺す内容の遺言を作成しました。
これにより生命保険金は受取人固有の財産となり、「遺留分計算の対象とはならない」ため、生命保険金を除外した1000万円の1/4に相当する250万円が長男の相続分となりました。
生命保険に加入していなければ、3000万円✕1/4=750万円が遺留分となっていたため、対策実施により長女に500万円も多く財産を相続させることができました。
遺留分とは、法律上認められた相続人の最低限の権利をいいます。
例えば、亡くなった父親が全ての財産を寄付するという内容の遺言を遺していたとします。
この内容が実際に実現されてしまうと、残された家族が生活できなくなる等の不都合が生じます。
そこで民法は、遺言によっても侵害することができない最低限の権利である遺留分を設けているのです。
生命保険金は受取人固有の財産となり、遺留分計算の対象から除外されますが、やり過ぎると遺留分計算の対象になってしまうので注意が必要です。
例えば、近田さんが全財産の3000万円で生命保険に加入すると、長男の遺留分がゼロ円になってしまうことが原則ですが、ここまでやると生命保険分も遺留分の計算対象となってしまう可能性があります。